空き家の維持費はいくら?実家を持ち続ける年間費用
固定資産税の納付額だけでは、空き家になった実家を1年持つ費用は出せません。保険、電気・水道、草刈り、帰省交通費、巡回費まで年額にすると、家族が負担している金額が分かります。
納税通知書や明細を手元に置き、実際の金額で12か月分を計算するところから始めます。修繕や片付けは毎年の維持費に混ぜず、一時費用として分けてください。
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- 親の入院、施設入居、同居などで、実家が空き家になりそう
- 税金以外のお金がどこまで増えるのかを兄弟姉妹と話したい
- このまま管理するか、売却・活用・解体も比べるか迷っている
1. 税金・保険・光熱費・管理費を年額にする
最初に作るのは、空き家用の年間費用表です。全国平均を当てはめず、手元の通知書や明細から実額を拾ってください。分からない費目は0円にせず、「未確認」と残す方が家族で話しやすくなります。
| 費目 | 金額を確認する資料 | 年額の出し方 |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 納税通知書、課税明細書 | 通知書の年税額を転記 |
| 火災・地震保険 | 保険証券、更新案内 | 長期契約は保険料÷契約年数 |
| 電気・水道 | 請求明細、通帳 | 直近12か月の合計。資料不足なら基本料金×12 |
| 草刈り・庭木 | 領収書、業者の見積書 | 1回の費用×年間回数 |
| 帰省交通費・巡回 | 運賃、ガソリン・高速代、管理契約 | 1回の往復費×回数、または月額×12 |
電気や水道を解約すれば基本料金は減りますが、現地確認の照明、通水、清掃に使えなくなります。再び住む時期が決まっている家と、売却まで最低限の管理だけをする家では、残す契約が違います。解約前に「誰が、何の作業で使うか」を確かめてください。
火災保険は、住人がいなくなった後も同じ補償が続くとは限りません。保険証券の用途や契約条件を確認し、実家が空き家になったことを保険会社または代理店へ伝えます。保険料だけを表から消すのではなく、補償が必要な期間と加入条件を確かめる項目です。
国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査では、年間の維持管理費は「10万円以上20万円未満」が16.7%、「30万円以上」が8.5%でした。一方で「費用はかかっていない」も25.6%あり、家ごとの差が大きいことが分かります(国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」PDF)。平均額探しより、実家の明細を集める方が判断材料になります。
2. 維持費を払う人と現地管理を担う人を決める
年額の横に「支払う人」と「現地で対応する人」を書き足します。固定資産税は長男、保険料は親の口座、草刈りと郵便物の回収は近くに住む次女というように、請求先と作業担当が分かれるためです。
家族が無償で行う草刈りや巡回も、回数と往復交通費を記録に含めてください。金額に表れにくい負担を外すと、「それほど費用はかかっていない」という認識と、現地担当者の実感が食い違います。
- 支払い:費目、年額、引落口座、立て替えた人
- 現地作業:作業内容、担当者、1回の所要時間、年間回数
- 緊急連絡:近隣や自治体から連絡を受ける人、修理を判断する人
- 精算日:家族間で立替金を精算する月
話し合いでは「年間でいくらかかるか」に加え、「立替金を誰がいつ精算するか」まで決めます。親の口座から支払っている費用は、口座凍結や残高不足で止まる可能性もあります。請求先、契約名義、引落口座を同じ表に記録しておくと、支払い漏れを追えます。
現地担当者には、日付入り写真を共有フォルダへ保存してもらいます。庭、玄関、屋根や雨どい、各室、水回りなど撮影位置を固定すると、遠方の家族も前回との差を判断できます。訪問日、天候後の確認、委託範囲は遠方の実家管理の記事で1枚の計画にまとめられます。
まだ実家が空く前なら、親の施設入居後に必要な作業を施設入居後の実家チェックリストで先に洗い出せます。空き家にするか自体を決めていない場合は、実家をどうするか決める3つの整理から始める方が早道です。
3. 修繕・片付けの一時費用と登記名義を分ける
屋根の補修や家財の処分は、その年にまとまって発生します。年間維持費に混ぜると翌年以降も同額が続くように読めるため、「毎年の費用」と「一時費用」の欄を分けてください。
屋根、外壁、雨どい、給排水、門、塀、庭木。写真と見積書を残します。
家財処分、仏壇、重要書類の仕分け。処分量と家族が残す物を別々に書いてください。
登記名義、相続人、境界資料。売却や解体に進む前の確認事項です。
修繕や片付けの見積もりは、金額だけで比較できません。作業範囲、処分量、追加料金が発生する条件、作業後の状態までそろえてください。例えば家財処分なら、物置や庭の残置物が含まれるか、家電リサイクル料金が別かを確かめます。
まだ方針が決まっていない段階で大きな修繕を発注すると、売却や解体を選んだときに回収できない場合があります。雨漏りや落下物など周囲への被害を防ぐ応急対応と、住み続けるための改修を分け、後者は利用方針が決まるまで発注を待てます。
住んでいない家は不具合の発見が遅れます。国土交通省の空き家管理チェックリストには、屋根や外壁の破損、雨漏り、通風・換気、樹木の越境などが挙げられています。現地へ行った日は同じ位置から写真を撮ると、変化を比較できます。
登記名義が亡くなった親や祖父母のままなら、売却や解体などの方針を決める前に現在の所有者も確かめてください。期限や必要書類は実家の相続登記の進め方にまとめています。
4. 空き家になると固定資産税は6倍かかる?
結論は「空き家になった時点で、納税額全体が一律6倍」ではありません。6倍という数字は、小規模住宅用地に適用される土地の課税標準1/6が外れる場合を単純に比べたものです。
住宅用地のうち、住宅1戸につき200㎡以下の部分は固定資産税の課税標準が1/6、200㎡を超える部分は1/3に軽減されます。家屋の固定資産税まで同じ割合になる制度ではありません。解体を予定している場合は、土地と家屋を分けた翌年度の確認手順へ進みます。
- 小規模住宅用地は、住宅1戸あたり200㎡以下の部分です。固定資産税の課税標準は1/6、都市計画税は1/3に軽減されます。
- 一般住宅用地は、200㎡を超える部分です。固定資産税の課税標準は1/3、都市計画税は2/3に軽減されます。
特定空家等または管理不全空家等について、市区町村長の勧告を受けた敷地は住宅用地特例の対象から外れます。管理不全空家等では、指導しても改善されず、特定空家等になるおそれが大きい場合に勧告へ進む仕組みです(国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」)。
自治体から指導や勧告に関する書類が届いたら、空き家担当課へ問題箇所と期限を尋ねてください。
翌年度の税額は、固定資産税担当へ課税明細書を示し、住宅用地特例の扱いを尋ねると確実です。
5. 年間維持費から管理を見直す日を決める
年間維持費が出たら、金額だけを確認して終わらせず、次の見直し日を決めます。親が戻る可能性を待つなら「退院・退所の方針が決まる月まで」、予定がないなら「半年後」など、判断を先送りしない日付にします。
例として、固定資産税8万円、保険3万円、電気・水道1.8万円、草刈り4万円、帰省交通費4.5万円、巡回管理3.6万円なら、年間24.9万円です。これは相場ではなく計算例です。3年続けば、修繕や片付けを除いても74.7万円になります。
保有期間は「今年の24.9万円」だけでなく、見直し日までの累計で比べてください。2年なら49.8万円、5年なら124.5万円です。ここへ一時費用と、家族が現地対応に使う時間が加わります。将来の売却価格が同じとは限らないため、先送りにかかる費用として把握できます。
保有を続ける場合は、年間予算、現地担当、緊急連絡先、見直し日を1枚に残します。管理頻度が足りているかは空き家を放置した場合の変化も判断材料になります。
使う予定がなく、毎年の負担を家族が引き受けにくいなら、売却した場合の手取りと比べる段階です。年額に保有予定年数を掛けて累計を出し、賃貸も候補なら貸す場合と売る場合の5つの数字をそろえます。売る方向が固まったら、実家売却にかかる費用と税金と売却前チェックリストで査定条件を確認できます。
参考情報
- 総務省統計局: 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計
- 国土交通省: 令和6年空き家所有者実態調査
- 国土交通省: 令和6年空き家所有者実態調査結果 PDF
- 国土交通省: 空き家を放置するリスク
- 国土交通省: 空き家の管理のやり方
- 国土交通省: 空き家管理チェックリスト
- 国土交通省: 固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置
- 法務省: 相続登記の申請義務化に関するQ&A
- 法務局: 登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です
- 国民生活センター: 保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!
- 東京電力エナジーパートナー: 料金単価表‐電灯
- 座間市シルバー人材センター: 空き家等管理サービス
- 法務省: 登記手数料について
制度や税務は改正があります。個別の判断は、市区町村、法務局、税務署、司法書士、税理士、不動産会社などへ確認してください。
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