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空き家は貸すか売るか?家賃ではなく5つの数字で決める

「月8万円で貸せるなら、売らない方が得」とは限りません。入居前の修繕、空室期間、管理、税金、退去後の工事を引くと、通帳に残る金額は家賃の合計より少なくなります。

賃貸の年間手残り、初期費用、売却手残り、保有期間、賃貸の撤退条件の5つをそろえると、家族が引き受ける仕事と費用まで含めて比べられます。

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空き家を貸す案と売る案の金額を同じ表で比べる図
この記事が向いている人
  • 親が住まなくなった実家を、貸すか売るか家族で決めたい
  • 家賃収入は魅力だが、修繕や空室を含む手残りが分からない
  • 不動産会社へ何を聞けば、賃貸案と売却案を比べられるか知りたい
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1. 権限・建物・家族の予定から貸せるか確かめる

収支計算の前に、貸し出せる状態かを確かめます。親名義の家なら、子どもだけで募集を始めず、所有者の意思と契約できる権限を確かめてください。相続後なら、名義と相続人の合意が必要です。

次に、雨漏り、給排水、給湯、電気、建具、害虫、残置物を写真と一覧に残してください。入居前工事の範囲が分からないまま家賃だけ聞いても、初期費用を引いた収支は出ません。

条件書き出す内容止まった場合
権限所有者、共有者、契約する人、家賃を受け取る人登記や委任の確認を先に進める
建物入居前に直す箇所、家財、設備、駐車場、接道現況調査と修繕見積もりを取る
予定家族が使う可能性、開始時期、最低限残したい年数期限を決めて保留する

「将来、家族が住むかもしれない」は、入居者がいる間に自由に使えるという意味にはなりません。誰が何年後から使うのかを書けなければ、家族利用は未定として計算します。

共有名義なら、家賃収入や修繕費を誰の口座で管理するか、追加工事をどの金額まで誰が承認するかも決めます。入居後に給湯器が故障してから兄弟全員の返事を待つ運用では、借主への対応が遅れます。

火災保険は、空き家から賃貸住宅へ使い方が変わることを保険会社または代理店へ伝えます。現在の契約をそのまま使えると考えず、補償範囲、保険料、切替日を聞いて収支表へ入れます。

名義が分からない場合は、課税明細から土地・建物の登記を確かめる順番から始められます。家財が残る場合は、処分前に残す物と通路の範囲を決めます。

最初に集めるもの:登記事項証明書、課税明細、間取り、設備一覧、室内外の写真、修繕履歴、家族の利用予定
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2. 賃貸と売却の見積もりを、工事契約の前に取る

賃貸管理会社には、募集家賃だけでなく、入居前工事、募集開始から入居までの想定期間、管理委託料、契約時費用、退去時に貸主が負担し得る工事を尋ねてください。

売却を扱う会社には、現状のまま売る案、必要な修繕だけ行う案について、査定額、売却費用、買主募集から引き渡しまでの想定期間を尋ねてください。先にリフォームや家財処分を契約すると、比較前の支出が確定します。

同じ写真、登記、課税明細、修繕履歴を各社へ渡してください。回答が違うときは、家賃や価格の差だけでなく、想定する借主・買主と必要工事の差を記録へ残します。

賃貸の回答は「現状のまま募集」「最低限の工事後」「設備を更新した後」のどれかを明記してもらいます。家賃が高い案でも、追加工事を回収するまでの年数が長ければ、家族の利用や売却へ切り替えにくくなります。

売却査定も、査定額だけでは比較できません。仲介で買主を募る案なのか、不動産会社が直接買い取る案なのか、家財や修繕をどこまで売主が負担する前提なのかを回答欄に残します。

賃貸で聞く数字売却で聞く数字
成約を想定する家賃、共益費、駐車場査定額と根拠、想定する買主
入居前工事、募集費用、管理委託料仲介手数料、登記、測量などの想定費用
空室の想定、修繕分担、解約条件売却期間、値下げ判断、引渡し条件

国土交通省は、不動産会社への相談に加えて、自治体の空き家バンクを売却・賃貸の双方に使える制度として案内しています。対象物件や手続きは自治体ごとに異なるため、家のある市区町村へ登録条件を問い合わせます(国土交通省「空き家を売る・貸す際に活用できる制度」)。

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家賃収入から空室、管理、税保険、修繕を引いて手残りを出す図

3. 家賃ではなく、年間の手残りを出す

比較に使う賃貸収入は「家賃×12か月」ではありません。入居がない月、管理委託料、固定資産税、保険、所有者側の修繕を引いた後の年額を使います。

国税庁も、不動産所得は総収入金額から必要経費を差し引いて計算すると案内しています。ただし、収支表の支出がそのまま税務上の必要経費になるとは限りません。申告時の区分は税務署または税理士へ確かめてください(国税庁「不動産収入を受け取ったとき」)。

賃貸の年間手残り 受け取る家賃・共益費 − 空室・滞納で受け取れない分 − 管理・募集・税金・保険・修繕

たとえば家賃7万円、年間11か月入居なら受取額は77万円です。管理5万円、税保険10万円、修繕積立15万円を置くと、税引前の手残りは47万円です。これは相場ではなく、計算方法を示す仮例です。

初期工事120万円なら、仮例の手残りだけで回収するには約2.6年かかります。給湯器や屋根など追加工事が出た場合、空室が長引いた場合も別の行で試算します。

初期工事は、毎年の手残りとは別の行に記入してください。「初期費用を回収する年」と「その後に残る累計額」が分かれれば、3年で売る案と10年貸す案を同じ尺度で比べられます。

敷金や礼金、更新料などの扱いは、管理会社へ金額と精算方法を尋ねてください。入金があっても将来返す可能性のある金額は、自由に使える収入として計上しません。

現在の年間維持費は、税金・保険・光熱・交通・修繕の年額表から移せます。空き家のまま持つ費用も並べれば、「貸すか売るか」に加えて「何もしない案」の負担も分かります。

収支表は楽観・標準・慎重の3列にします。空室0か月だけで決めず、工事追加と入居の遅れを含む列も残します。
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4. 貸した後の出口を、募集前に決める

賃貸は、入居が決まって終わる作業ではありません。設備不具合への連絡、家賃管理、更新、退去、原状回復が続きます。管理会社へ任せる範囲と、所有者が承認する金額は契約前に決めてください。

家族が将来住む、一定期間後に売るという予定があるなら、賃貸借契約の種類、期間、終了条件を不動産会社へ伝えます。希望日になれば必ず明け渡してもらえると決めつけず、契約方法と条件の説明を受けます。

  • 見直し日:1年後など、収支と家族予定を再確認する日
  • 修繕承認:管理会社が手配できる金額と、家族合意が必要な金額
  • 撤退条件:空室期間、追加工事、年間赤字のどれで売却案へ戻るか
  • 契約終了:契約期間、更新、解約、家族利用との関係

サブリースを使う場合は、提示された賃料が契約中ずっと固定されるのか、減額や契約解除の条件、修繕費の負担を契約書で確かめます。国土交通省、金融庁、消費者庁も契約条件に関する注意喚起を公表しています(国土交通省「サブリース契約に関するトラブルにご注意ください」)。

「空室が6か月続く」「追加工事が予算を超える」など、賃貸を中止する条件を数字で残します。撤退条件がなければ、赤字でも次の入居を待ち続ける判断になりがちです。

修繕用の口座には、管理会社から示された設備交換の想定額と、家族が負担できる上限を置きます。家賃を生活費へ回し切ると、退去や設備故障が重なった月に工事を進められません。

年1回の見直しでは、入居月数、実際の手残り、修繕額、管理会社への連絡回数を1枚へ残してください。見積もり時の標準案との差が大きければ、次の更新を待たずに管理会社へ原因と今後の条件を尋ねます。

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賃貸の年額、初期費用、売却手残り、保有年数、撤退条件を比べる図

5. 年間手残り・初期費用・売却手残り・期間・撤退条件を比べる

家族会議には長い説明ではなく、賃貸の年間手残り、入居前の初期費用、売却の手残り、保有する年数、賃貸を中止する条件の5つを持ち込みます。

数字貸す案売る案
1. 賃貸の年間手残り家賃から空室・管理・税保険・修繕を引く売却までの維持費を年額にする
2. 入居前の初期費用修繕、家財、募集、契約準備家財、登記、測量など
3. 売却の手残り将来売る場合の査定額と残債を記録売却額から売却費用と税の見込みを引く
4. 保有・売却期間何年保有し、いつ再検討するか募集開始から引き渡しまで
5. 撤退条件空室、追加工事、赤字の上限値下げ、期限、売却中止の条件

貸す案が合いやすいのは、入居に必要な工事と空室を含めても年額が残り、家族が保有を続ける理由と期間を共有できる家です。売る案が合いやすいのは、利用予定がなく、初期工事の回収に時間がかかり、管理を引き受ける人も決まらない家です。

結論が出ない場合は、5つのうち空欄の数字だけを集めます。賃貸の年間手残りが空欄なら賃貸管理会社へ家賃と費用を尋ね、売却手残りが空欄なら売却査定と費用の回答を待ってから比べてください。

数字がそろえば、「今売る場合の手残り」と「貸した期間の収支に将来の売却手残りを足した金額」を比べられます。将来の売却価格を低く置いた慎重案も作ると、家賃だけでは分からない初期費用の回収期間と受取額が見えてきます。

数字が近い場合は、家族が担当する仕事で決めます。賃貸は収入と一緒に、契約・修繕・申告・退去対応が続きます。売却は一度に手続きが集中しますが、引き渡し後の管理は終わります。誰が何年担当するかまで書ける案を残します。

売る方針になったら、売却代金から差し引く費用と、名義・書類・家族条件の5項目をそろえます。相続した家は、3,000万円控除の資料と期限も売却前に確認できます。

ここからの査定案内は、賃貸案との比較を終え、家族で売る方針を決めた人が対象です。まだ貸すか売るか迷っている場合は、ボタンを押さず、空欄の数字がそろうまで比較を続けられます。申し込み後10日以内に本人確認と日程調整へ応じ、30日以内に訪問査定を受けられる時期に利用してください。

申込フォームでは、表示された不動産会社から査定を頼む会社を最大5社まで選べます。選んだ会社へ物件情報と連絡先が共有され、各社からメールまたは電話で連絡があります(持ち家売却「査定依頼フォーム」)。

持ち家売却は、株式会社セレスが運営する無料の不動産一括査定サービスです。査定後に、依頼した会社へ売却を頼む義務はありません(持ち家売却「公式ページ」個人情報の取扱い)。

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売る方針が決まったら、同じ条件で訪問査定を比べる

持ち家売却では、選んだ複数の不動産会社へ、同じ物件情報で訪問査定を依頼できます。

家族会議の1枚:賃貸の年間手残り、初期費用、売却手残り、保有年数、賃貸の撤退条件。各数字の根拠資料も添えます。

参考情報

賃料、修繕、契約、税金、売却価格は、物件と地域、所有関係によって変わります。個別の判断は、不動産会社、賃貸管理会社、市区町村の空き家担当課、税務署、税理士、司法書士などへ確認してください。