相続した実家を売却する流れ|名義確認から引き渡し・確定申告まで
親が亡くなった後に実家を売る場合、不動産会社へ査定を頼むだけでは売買契約まで進めません。亡くなった親の名義が残っていれば、相続人と取得者を決め、相続登記を済ませる必要があります。
相続の期限、名義、査定、契約、申告を一列に並べると、いま連絡すべき相手と、先に集める書類が分かります。
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1. 売却より先に相続の期限を確認する
最初に集めるのは、不動産会社の資料ではなく、遺言書、親の戸籍、預貯金や借入れが分かる書類です。借入れや保証債務があり、相続するか判断できていない段階で、実家だけを売る話へ進むのは避けます。
相続放棄は、原則として自分が相続人になったと知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てます。財産や債務を調べても判断材料がそろわない場合は、期間伸長を申し立てられることがあります(裁判所「相続の放棄の申述」)。
| 期限の目安 | 確認する手続き | 主な確認先 |
|---|---|---|
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認を選ぶ場合 | 家庭裁判所 |
| 4か月以内 | 親に申告義務がある場合の準確定申告 | 親の住所地を管轄する税務署 |
| 10か月以内 | 相続税の申告が必要な場合 | 親の住所地を管轄する税務署 |
| 取得を知った日から3年以内 | 相続登記 | 不動産所在地を管轄する法務局 |
準確定申告は、親に確定申告義務がある場合に相続人が行う手続きです。期限は相続開始を知った日の翌日から4か月以内です(国税庁「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」)。
相続税はすべての相続で申告するものではありません。申告が必要な場合の期限は、死亡を知った日の翌日から10か月以内です(国税庁「相続税の申告と納税」)。預貯金、借入れ、保険、不動産を一覧にし、税務署または税理士へ申告要否を確かめます。
2. 実家を取得する人を決め、相続登記を済ませる
不動産会社への査定は相続登記の前でも頼めますが、売買契約後の所有権移転には登記が必要です。査定を進めながら、誰が実家を取得するか決めて相続登記を済ませると、売却の途中で手続きが止まりません。
固定資産税の課税明細で土地の地番と建物の家屋番号を確かめ、土地・建物それぞれの登記事項証明書を取ります。納税通知書の宛名だけでは登記名義人を確定できません。取得方法は課税明細から登記簿を取る順番にまとめています。
遺言書がなければ、相続人同士で誰が実家を取得するかを話し合い、遺産分割協議書へ残します。売却代金を分けたい場合も、「共有名義にしてから売る」「1人が取得して代償金を払う」では、契約、入金、税務の扱いが変わります。登記前に司法書士と税理士へ伝えるのは、売却予定であることと、代金をどう分けたいかです。
意見を出す前の資料や会議の進め方は、実家の相続を兄弟姉妹で話す5項目で、費用・作業・希望を分けて整理できます。
相続登記は2024年4月1日から義務化され、原則として不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内です。2024年4月1日より前の相続で取得をすでに知っていた場合は、2027年3月31日が期限です(法務省「相続登記の申請義務化について」)。
遺産分割が期限内にまとまらない場合は、相続人申告登記で基本的な申請義務を履行できることがあります。ただし、相続人申告登記だけでは売却できません。通常の相続登記との違いは、相続登記義務化の記事に分けました。
相続税申告と名義変更を同じ窓口へ相談したい場合
相続アシストは、東京・神奈川・大阪・京都・兵庫の案件を対象に、税理士・弁護士・司法書士が連携して相続税申告や登記を支援するサービスです。相続人、財産の概算、実家の所在地を控え、対応地域と依頼内容を確かめられます。
3. 書類と現地写真をそろえ、訪問査定を比べる
相続人と売却方針が固まったら、実家の条件を各社へ同じように伝えます。登記事項証明書、課税明細、購入時の契約書、測量図、間取り図、修繕記録をまとめ、見つからない資料は「未確認」として伝えれば十分です。
現地では、外観、前面道路、境界、水回り、天井、床、庭、物置、残った家財を撮影します。家を空にしてから査定する必要はありません。先に手を付ける範囲は、査定前に片付ける5項目に分けました。
- 価格査定額と、その金額になった近隣事例・土地・建物の評価
- 期間売り出しから契約までの想定と、値下げを検討する時期
- 売り方仲介か買取か、古家付きか更地渡しか、残置物をどう扱うか
- 売主負担測量、片付け、解体、登記、契約不適合への対応
古い家は、解体を先に契約しません。古家付き、契約後の更地渡し、解体後の更地売却で手元に残る金額が変わります。建物の扱いは古家付きと更地を比べる5条件へ分けています。
査定額だけでなく、売却期間と売主が負担する作業を横一列にします。高い査定を出した会社へ理由を聞き、近隣の成約事例、想定する買主、値下げ条件まで答えられるかを確かめます。
持ち家売却の申込フォームでは、表示された不動産会社から査定を頼む会社を最大5社まで選べます。選んだ会社へ物件情報と連絡先が共有され、各社からメールまたは電話で連絡があります。連絡しやすい時間やメール希望を書けますが、希望どおりになるとは限りません。
利用料はかからず、査定後に売却を依頼する義務もありません。相続人の売却意思が固まり、複数社との連絡に対応でき、申し込み後10日以内に日程調整、30日以内に訪問査定を受けられる段階で利用してください(持ち家売却公式)。
同じ条件で訪問査定を依頼する
持ち家売却では、実家に対応できる不動産会社へ訪問査定を依頼できます。写真、登記、残置物、希望時期を各社へ同じように伝えると、価格の根拠と売主負担を比べやすくなります。
4. 媒介契約から売買契約、引き渡しへ進む
仲介を頼む会社が決まったら、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の違いを確かめて契約します。複数社へ重ねて依頼できるか、自分で買主を見つけた場合に直接契約できるか、レインズへの登録と報告頻度が主な違いです。
媒介契約は不動産会社へ売買の仲介を依頼する契約です。国土交通省は3種類の特徴と業者が受託する範囲を案内しています(国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」)。契約期間、仲介手数料、広告方法、レインズの登録済証も比較の対象です。
売り出し前には、把握している雨漏り、シロアリ、設備故障、境界、越境、増改築、残置物を書面で不動産会社へ伝えます。分からないことを推測で埋めず、「未確認」と「いつ誰に確認するか」を区別しておくと説明がぶれません。
購入申込みが入ったら、価格だけでなく、手付金、住宅ローン特約、契約解除、境界確認、家財撤去、解体、引き渡し日を詰めます。兄弟姉妹が共有者なら、契約への出席方法、本人確認、代金の振込先を不動産会社と司法書士へ早めに伝えます。
| 段階 | 売主が確かめるもの | 手元に残すもの |
|---|---|---|
| 媒介契約 | 契約種類、期間、報告頻度、仲介手数料 | 媒介契約書、登録証明書 |
| 売買契約 | 代金、手付金、解除条件、物件状態、撤去範囲 | 売買契約書、告知書、設備表 |
| 決済・引き渡し | 残代金、固定資産税等の精算、鍵、所有権移転 | 精算書、領収書、登記関係書類 |
引き渡し日は、残代金の入金、固定資産税などの精算、所有権移転に必要な書類の提出、鍵の受け渡しが重なります。共有者が遠方にいる場合は、必要な委任状や本人確認を司法書士へ事前に確かめます。
5. 売却代金と費用の資料を残し、申告に備える
売却後に必要になるのは、入金額だけではありません。親が実家を買ったときの契約書と領収書、相続時の登記費用、今回の仲介手数料、測量費、解体費などを、時系列で1つのファイルに残します。
土地や建物の譲渡所得は、売却代金から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。利益が出た場合は原則として確定申告が必要です(国税庁「不動産等を売却した方へ」)。親の購入代金が分かる資料を捨てると、取得費の確認が難しくなります。
相続した空き家では、一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。対象の家屋と敷地を相続または遺贈で取得した相続人が3人以上の場合は、1人あたり最高2,000万円です。
対象家屋、相続後の利用、売却代金、耐震・解体、売却期限などの条件は、3,000万円控除で売却前に残す書類にまとめました。
制度の適用期間は2027年12月31日までです。これとは別に、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る要件もあります。利用できる前提で税額を決めず、相続日、建築日、親が住まなくなった日、売買契約日、引き渡し日を税務署または税理士へ伝えます(国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)。
査定額から手元に残る金額を計算する際は、実家を売る費用の7項目を使えます。仲介手数料だけでなく、登記、測量、片付け、解体、税金まで同じ表へ入れます。
- 取得時親が購入したときの売買契約書、領収書、建築代金の資料
- 相続時遺産分割協議書、相続登記の書類、登録免許税と司法書士費用
- 売却時売買契約書、仲介手数料、測量、片付け、解体の領収書
- 日付相続開始、空き家化、契約、解体、引き渡しの日
実家の売却は、引き渡しで終わりではなく、翌年の申告資料をそろえた時点で一区切りです。契約書と領収書を家族ごとに分散させず、原本の保管者とデータの共有先を決めます。
参考情報
- 裁判所: 相続の放棄の申述
- 国税庁: 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
- 国税庁: 相続税の申告と納税
- 法務省: 相続登記の申請義務化について
- 国土交通省: 不動産取引に関するお知らせ
- 国税庁: 不動産等を売却した方へ
- 国税庁: 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
制度や税務は改正されることがあります。個別判断は法務局、税務署、司法書士、税理士、不動産会社へ確認してください。
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